納豆日記

とりあえず納豆が食べたいです。が、納豆のことは特に書かないと思います。

蜘蛛の糸、秘密基地、煙突飛行ネットワーク

限られた世界に生きていた子供の頃、読書は大好きだったけど、それが何故かと言われればきっと困ってしまっていただろう。昔を振り返って、なんとなく知識も増えて、語彙をもう少しだけ獲得した今、そこに説明を与えるとすれば、限られた世界を出て物事を相対化したかったんだろう。

それは、ズッコケ三人組と共に日常が彩られるような興奮であり、芥川龍之介の短編に感じたどこか影のある世界への漠然とした憧れであり、そして、ハリーポッターと共に魔法界に圧倒され一瞬で没入させられるまさに呪文にかけられたような中毒性だ。

その度に、友達と作戦会議して秘密基地を作りたくなり、理解しきれない世界を目の当たりにしつつも蜘蛛の糸が切れた先を想像し、こっそり箒に跨った。

大人になればなるほど、雑音が気になるようになった。没入しようと努力しないと入り込めないことが多々ある。それでも読むしかないのだろう。ダイアゴン横丁の煉瓦の叩き方は忘れていっても、色んな煙突から色んな所に行けるようになったはずだから。大人になるって、そういうことだと、中途半端な歳の今は信じたい。